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京創舎Blog

メンバー紹介
2018年02月05日(月) #会員さん紹介  #河野日記 

向井さんと、臨床心理士のお仕事

こんばんは、京創舎スタッフ河野です。今回はインタビュー回ということで、臨床心理士として心理相談を受け持っておられる、京創舎会員の向井さんからお話を伺いたいと思います。向井さんは定期的に京創舎へ通っていただいておりますが、曜日が重ならず会われたことのない会員さんもいらっしゃるかもしれません。今回は向井さんとそのお仕事のお話を伺いたいと思います。

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相談にいたるまで

Q.相談にこられるかたは、どのようなきっかけでこられるのですか?

「成人の方だと朝起きて仕事に出られなかったりだとか、病院で診断を受けて薬を飲んでも改善しない方などが一般的です。お子さんだと学校に行きたくない、不登校の子などを親御さんが連れてこられることになります」

「ほとんどのケースが、病院やスクールカウンセラー、福祉のほうから紹介されて私の元を訪れるという形になります。たまに直接電話してこられる方や、以前の相談者の方の紹介でこられることがあります」

Q.それはどこかに登録されているということですか?

「個人的なつてです。スクールカウンセラーや家庭児童相談室から、手に負えない方や進展のない方の相談がはいってきます。自分は心理相談だけでなく、学習支援を通じた自己肯定感の回復も行っているため、学力の回復が自信の回復に繋がるような方にはそういう手法を用いています」

Q.相談はどのように始まるのですか?

「不登校の子供は親御さんからの相談から始まりますが、大人だと仕事に行きづらいとか、夫婦間の問題があるとか、いわゆるお悩み相談のようなところから始まります」

自己評価の回復

Q.自己肯定感、自信の回復とありましたが、そういうものが不足している方が対象になるということですか?

「そうですね。社会生活や組織からズレが生じることで、自己評価が下がる方が多いです。自分はいないほうがいいとか」

Q.それはどちらが先なのですか?例えば発達障害などからズレが生じるのか、ズレが生じることで不登校や鬱になるのか。

「両方あります。また、いじめやバカにされたり、家庭におけるわだかまりなど、別の原因があるケースもあります」

Q.いろいろな方がいらっしゃるのですね。その方々が全て向井さんの心理相談の対象になるのですか?

「それは相談の上で見極めることになります。相談を受けてみないことにはどういったお悩みなのかわからないため、お話を聞いていく上で医療機関の対象になる場合はそちらを紹介することもあります。相手さんの希望もあるので、最終的に自分が関われそうな方が対象として残ります」

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「我々臨床心理士は医者ではないため、原因を見極めて問題を解決するのではなく、生活上の安心感や快適さを増やしていくことに主眼を置いています。本人のいいところを見つけたり、伸ばしていくことで自信をつけてもらい、安心感や快適さを広げていきます。本人の自己評価が高まり、改めて自分を見つめ直すことによって、原因が明らかになることもあります」

Q.自己評価って言葉、実はいまいちよくわかっていないんですが...

自信だと思ってもらっていいです。自分がここにいてもいいのか、いてはいけないのではいか、そういう自信がない状態が自己評価が低い状態です。例えば不登校であれば、教室に居場所がないとか。

Q.それはつまり、社会的なことなのですか?自分はそういうこと気にしたことがないから...

あつかましい人は大丈夫です(笑)。嫌いな上司に会うと吐きそうになるとか、ものを食べても味がしないとか、そういう状態を我慢することでさらに自己評価を落とし、悪化することが多いです。基本は真面目でがんばり屋さんが多いんですよ。きっちり仕事や勉強をしたり、欠席をしなかったりとか。そういう方が我慢の限界にきて職場へ行けなくなったり不登校になったりします。他に、人との関わりに影響を受けるだけでなく、純粋に疾病の方もいらっしゃいます。

発達障害について

Q.発達障害という言葉も最近よく聞きますが、いまいちよくわからなくてお聞きしてもいいですか?

「一般的に発達障害と呼ばれるのは、自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥・多動性障害 (ADHD)の二種類です。基本的には脳の中にある神経回路の配線の問題なのですが、トレーニングや適切な支援によって状態は劇的に緩和されます」

「たまに発達障害は脳の障害だから一生治らないと言う人もいるのですが、適切な支援を与えたり、家庭や職場の環境調整によってパニックを起こす頻度が減ったり、多動症がおさまったり、かなりよくなりますよ。ただし、どういった支援が適切かというのはそれぞれ異なるため、毎回手探りとなりますが。発達障害と言っても傾向こそありますが、具体的な現れ方は人それぞれです」

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臨床心理士について

Q.今のお仕事を始められたきっかけを伺ってもいいですか?以前には塾の経営をされていたと聞いていますが

「臨床心理士になろうと思ってなったわけではないのですが、塾をやっていたときに保護者面談や生徒面談を行う上で、学習以外の面における相談を受けることが多々ありました」

「家族間の問題、学校での問題についてアドバイスをしている中で、自分のこのアドバイスは本当に正しいのだろうか?と疑問を持ち、ずっとひっかかっていました。相談を受けることで感謝されたり、保護者からの良い評判を受けるとそれはそれでやはりひっかかりが大きく、正解を求めて大学院へ行き直したような形になります」

Q.大学院へ行き直したり、臨床心理士になるには大変だと思いますが

「今冷静に考えると大変です。今やる気力はないです。冷静じゃなかったんでしょうね。大学院の受験勉強は、自分が塾で教えていたことなのでそれほど苦ではなかったですが」

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向井さんは京創舎で「不登校というサインの意味は?」というセミナーを行われたり、春からは大学で心理学の講義も持たれます。ご多忙かと思いますがそれでも「お一人でも多くの方の支援に携わりたい」とおっしゃられています。心理相談は受ける本人だけでなく、周りの人から相談を受けたり、紹介を受けることも多いということなので、身の回りやお知り合いの方で問題を抱えてらっしゃる方がいれば、一度向井さんに紹介されてみてはいかがでしょうか。

また、お仕事のお話以外にも気功や登山、旅行、読書など多趣味でいらっしゃる向井さんとの話題は尽きません。私自身も向井さんとは長々と話し込んでしまうことが多く、いつも貴重なお話を聞かせていただいております。これを機により多くの方が向井さんと接点を持っていただければと思います。

京創舎スタッフ 河野

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