京創舎Blog
2016年11月19日(土) #イベント #イベントレポート #山口日記
10月22日開催「人を巻き込むイベントの作り方」イベントレポート
「人を巻き込むイベントの作り方」イベントレポート
スタッフの山口です。今回は、イベントレポートをお送りします。
去る、2016年10月22日の土曜日 午後2時から午後6時30分まで、
京創舎北棟1階において「人を巻き込むイベントの作り方」を開催しました!
参加いただいた方は15名ほどで、午前中のイベントで美味しいカレーを食べてからの参加、という方もおられました。
イベント開始
まず、じわーっと緊張感をにじみ出しながら登場したのは京創舎館長の高橋。
ご挨拶と京創舎の紹介の後、本日の登壇者お二人を紹介していきます。
Orinoco Peatix株式会社 コミュニティマネージャー 白勢竜彦さん
株式会社ツナグム タナカユウヤさん
フランクなお二人の人柄が一気に場を和やかにしていきます。
第一部 Peatix社 白勢さんのお話し
Orinoco Peatix株式会社 コミュニティマネージャー 白勢竜彦さん(以下、白勢さん)の所属するPeatix社はイベントプラットフォームとして全国で利用されており、年間500~600件のイベントが行われています。
PeatixのWEBページ(外部リンク)
自己紹介の中で、ご自身がイベントに参加していてPeatix社の方から誘われ入社したとのことで、その経緯もドラマチックです。
白勢さんご自身が自己紹介された後に、参加者にもさっと自己紹介を促されます。
ひとり30秒程度の自己紹介ですが、その場で投影されている画面に参加者の名前や、参加の思いを簡潔にまとめて追加していきます。
この時点で、今回のイベントは「参加者が共に作っていく」という白勢さんが作り出す流れに自然と巻き込まれていくのを感じました。
その後、白勢さんは、今の時代を「SNSのつながり(シェア)でイベントがやりやすい時代」とし、「イベントを作る人は、つながりを作る人」と定義し、イベントに必要な10のステップを提示し説明していきます。
「参加」型ってなに?
「人を巻き込む」とタイトルにありますが、一口に参加型と言っても、どういうこと?という疑問がありますね。問いを立ててくださった白勢さんはこのように答えています。
1.イベント前に「問い」や「課題」を投げかけておくことで、イベント当日までの準備するワクワク感を演出する
2.常連を巻き込み、仕事を渡していき、「共犯者」を増やしていく
3.参加者がチケットを買ったうえで、イベントを創りに行くというマインドにする
仕込み、共犯者、チケットを買って創る、というキーワードが出てきました。このキーワードの他に、当日の参加者の中に、文化を知っている人を入れておくことで、人を巻き込むベースを作っていくようです。また、「仲間集め」がとても重要であることも強調されています。
イベントはタイトルが命
私たちがFacebookやTwitterなどのSNSを見ているときに、いろいろなページに飛び、スクロールしているとイベントのタイトルが目に入ってきます。
そのイベントに参加するかどうかを私たちは一瞬のうちに決めてしまいます。白勢さんによると、スクロールしている画面から目飛び込んできたタイトルを読むのは約0.1秒から0.2秒程度。ほんの一瞬で画面の文字から情報を読み取り、そのイベントに参加するかどうかを決めるのだそうです。
一瞬で読まれ判断されるので、タイトルは非常に重要であるとことを強調されていることを考えると、タイトルがどれだけ大切であるかが分かります。
白勢さんへの質問
第一部での白勢さんのお話の後半は、質問タイムとなりました。
Q.イベントの評価の仕方はあるのでしょうか?
答えられないですね。データがないので、答えられないというのが正直なところです。ただ、つながりが残っているか?、次が生まれるか?が、評価となってきます。
Q.会場や、場所のパワーなどは関係ありますか?
あると思います。他にイベント会場のある町を歩いて、会場以外の「場」を会場とできるか調べたりします。場からのインスピレーションというものもあります。ここで何かしたいと思う場所であることは重要です。また、イベントでは、オーナー、大店(おおだな)さんと仲良くすることが大切です。
よくある質問で、イベントの値段設定について聞かれますが、東京と京都では違いますね。東京では3000円が普通。京都では500円というイベントもある。地域の差がある。ただ、どうしてもやりたいコンテンツがあったら、妥協しない価格でやることが大事だと思います。
白勢さんのお話しを聴き洩らすまいとメモに取っている参加者の姿から、皆さんイベントを成功させることへのカギを掴もうとされている事を強く感じました。
この後は、一旦休憩してタナカユウヤさんとの対談に移っていきます。
【第二部 トークセッション】タナカユウヤさん登場
対談が始まる前に「少しだけ自己紹介します。」と、株式会社ツナグム タナカユウヤさん(以降、ユウヤさん)が、「あのタナカユウヤの頭の中を探ろう」というイベントで使用したスライドを超高速で表示しながら自己紹介していきます。
日々忙しくされていながらも年間100本のイベントを開催されるというユウヤさん。そういったなかでも、人と人、地域のつながりを大事することを心がけているとのことです。
タナカユウヤ流イベントを楽しむ方法
イベントを楽しむ方法として、ユウヤさんが自身が実践されてきたことは、
1.そのイベントで主催者に「何かやれることはないか」と聞いて、何かやってみる
2.参加するイベントの前日から手伝いに入る
3.時には1週間前から取材と称して入り込む
イベントを楽しみ尽くす。ユウヤさんの姿勢が表れていることがよくわかります。
これらの参加+αが、現在のユウヤさんがイベントをしている流れとなってきているとのことでした。また、「場所ありき」でイベントをすることは大切で、箱+コンテンツ=イベント(箱がある中でやる)というイメージのようです。成果については、ユウヤさんの場合、参加人数で測っているとのことでした。
イベント運営をオススメしない!?
ここで、ユウヤさんから、「イベントは基本的にあまりお勧めしない。」という言葉が飛び出します。理由として、イベント運営は「しんどい。」と。でも、そう言った後すぐに、「でも、はまると楽しい。」と満面の笑顔で語ります。
イベントを成功させるために必要なこととして、
1.自分事でどう楽しむか。
2.イベントとして、どこを目指すか。イベントの終わり方を決める。1回なのか?12回なのか?
3.想い+お金
4.無理をしない(ゲストに悪いから集めなきゃ!感を出さない。他のイベントで仲間を集めながら、集客していく。)
これらの言葉の中には、今までいくつものイベントを運営してこられたユウヤさんのノウハウが詰まっていることを感じるとともに、さらっと語る表情はとても真剣でした。
イベントはタイトルが9割
タイトルについて、ユウヤさんからも第一部の白勢さんと同じ言葉が出てきました。
「イベントはタイトルが9割です」
人を引き付けるためにはタイトルの良しあしが大変重要であり、ユウヤさん自身はWeb上に流れるニュースのタイトルを参考にしているそうです。他にも「編集者」「2個フック」「40文字以内」というタイトルのコツを語ってくれました。難しいことをさらっと答えてしまうところに、ユウヤさん独特の、大変なことを軽やかに成功させていく秘訣が隠されているように感じます。
次に繋がるイベント
ユウヤさんのトークが乗ってきたところで、白勢さんもトークに加わり場が盛り上がっていきます。「『わかもん会議』のサブコンテンツとしてやったアンカンファレンスが面白い」、とユウヤさん。「あれは危険なコンテンツだよね~。」と突っ込む白勢さん。
お二人が企画運営しているものは、参加型で他の方とコラボレーションをすることが多いとのことですが、「何が起きるのか?」という部分にフォーカスされていることがわかります。また、「イベントを開催した後、次に繋がるかがとても重要である」と、お二人は言います。
白勢さんが、「プロジェクタビリティ」という言葉でイベント後にプロジェクトになっていく話をされると、タナカユウヤさんは「次のきっかけになるイベントはワクワクする」と表現されます。両者の言葉から、開催したイベントの成否は次に繋がることが指標になっていることが分かります。
集客について
ユウヤさん曰く、「今はイベントに出かけるのがファッションとなっているので、その人の自尊心を満たせるイベントを作れるかがカギ」と語ります。
白勢さんは集客について、「たびっぽ(TABIPPO.NET)の集客はうまい。」と絶賛。「旅は一種の宗教」というくらい、旅ものコンテンツは強さを持っているようです。また、「旅人はオープンマインドですよね。」という言葉から、イベントにおいても参加者が「オープンマインド」であることが成功の一つの要因であるようです。
オープンマインドの話から、白勢さんは「学生はオープンマインドではないし、自発的ということはあきらめたほうがいい」ということを語ります。大学生の集客については両者とも苦労されていることがうかがえます。また、大学生は複数のアカウントをもつものの、「意識高い系」の人は少ない上に、それ以外はほとんど外には出ていかない人である。ということについて、白勢さん、ユウヤさんともに一致した意見でした。
ユウヤさんは「面白そうだ行ってみよう。」と、友だちを誘ってくれる学生をつかまえることが大事で、「大学生を1000人集めるためには、大学の各団体のトップを連れてきて広報するのが効果的」であり、「知り合いが知り合いを連れてくるコンテンツを考えることが大切」といいます。
Twitterが集客に使えるかについては、ユウヤさん自身は情報収集に使い、告知は時間帯別のツイートをするなどの工夫をしているとのことです。Facebook等での告知は、人ごとに「興味、関心」をラベリングし、そこを利用して招待する方法をとっているとのことでした。
白勢さんの集客については、Facebookページのアクセスデータを見ておくこと、またイベントページのヴィジュアルを意識し、テーマによってはイベントページのトップ画像に文字を入れる等の工夫もするとのことです。Twitterやインスタグラムを効果的に使うことはもちろんですが、紙媒体で地道に告知していくことが最終的に効果を発揮することも実感として話してくださいました。また、イベントのわくわく感を演出するために、準備風景を見せることで、段階的にいろんな入り口を作ることが効果的で、「イベント中は、画像を撮る時間を作ることで参加者にシェアしやすい時間を用意し、シェアを誘う方法をとっている」ことのことでした。ユウヤさんの、「直の口コミしかない。口コミをどう起こすか。」という言葉通り、お二人はどうしたら人から人へ伝わるかをいつも考えられていることを感じました。
常連が増えると、一見さんが入りづらい
イベントを重ねていくと「常連さん」ができてきます。常連さんはイベントを開催する上で「仲間」となる人たちなので、とても大切な存在です。しかし、常連さんが多すぎると文化が作られすぎ、一見(いちげん)さんが入りづらいという事態が起こることがあるようです。
ユウヤさん自身、身内のイベントにしたくないという思いがあり、そんな時の解決策として、身内(常連)が多すぎると感じるときはWEB(Twitter等)にだけ先に情報を流し、新規の集客を先に行うこともあるそうです。
主催者の役目って?
主催者の大きな役目はなんでしょうか。準備や当日を仕切ることが主催者の役目でしょうか。それはできて当然という前提の上で、お二人は「参加者の垣根を無くすことが主催者の重要な役目」であることを強調します。白勢さんは「新しい人が楽しんでいるかを見て、主催者は常連と初心者が繋がるために入り込む」と言います。ユウヤさんは、常連が多い時には、常連と初心者が混ざるように席を指定し、申込の時にある程度の情報を収集し相席にすることでコラボが起こるようにデザインしているとのことでした。また、ユウヤさんも「つなぐことが主催者の仕事」とし、会場全体を引いて(俯瞰して)見ること、参加者同士をつなげて(常連を投げて)引くことを実践されています。また、ここでのキーワードも「オープンマインド」で、そのマインドを持つ人をどう配置するかもイベントが成功するための一つの要素となっているようです。
後継者を育てる
白勢さんは、「ユウヤさんは、イベントを引き継ぐのがうまい。」といいます。
実際にユウヤさんは主催していたイベントを次の世代に引き継いでいます。
「やりたいという思いの人が集まったら、文化を作る。」この言葉は、引き継げるデザインをしている(仕組みを作っている)と思う瞬間でした。
そして、まさに白勢さんが初めに語った『常連を巻き込み、仕事を渡していき、「共犯者」を増やしていく』ことにつながっていくのでした。
かなり深く、濃い時間を過ごした参加者の方々。少し疲れも見えてきているけれども、まだまだこれから!
今回のメイン、イベントづくりのワークショップに突入です。
ワークショップ
ワークショップでは館長の高橋がファシリテーターとなり、「オープン スペース テクノロジー」という手法をつかってのワークをしていきます。始めにルールの説明があり、安心安全な場を作り上げていきます。
まず、自分の「やりたいこと」を一枚の紙に一つ書いていき、それを全員の前で簡単にプレゼンしていきます。参加者はプレゼンを聞いた中から、自分の「やりたいことも」含めて興味のあるものに集まっていきます。この時、不思議なもので自分のプレゼンしたものではなく、他の参加者の「やりたいこと」に集まりグループができていきます。このメカニズムはどんな心理が働いているのでしょう。(教えて詳しい人!)
その後、グループで集まり自己紹介をしたあと、選んだ「やりたいこと」をイベントアイデアとしてグループ内でブラッシュアップしていきます。具体的な開催日時、場所、内容などをそれぞれ自由に意見を出し合い、付箋に思いついた言葉を書いたりしながら話し合っていきます。この時間は30分間ありましたが、足りないと感じるくらい多くを出し合った気がします。一つの言葉や、やりたいと思ったことを話していくうちに思い付きの連鎖がどんどん広がっていくようでした。他者の意見は、一人会議では決して出てこないもので、見る方向や、語る言葉によって次が紡がれていく様子はとても面白かったです。その結果、1人では、決して生まれることの無かったアイディアが沢山生まれました。
それぞれのグループごとに模造紙に内容をまとめていき、全員の前でイベント企画をプレゼンしていきます。
・やりたいことを見つけるためには?行動を起こすためには?
・ふるさと美味しいもん自慢
・石と戯れる一日
・HMIT忘年会
ワークの最中にも気になる新しいワード「日常の重力に負ける」「今年一年の忘れたいことを発表!」「なんでイベントのEではなくてI?」「美味しいものにまつわるストーリーをプレゼン」「ただで手に入れた食材で作る鍋」「石の美しさをみんなで語り合う」などなど、普段は聞かないようなワードが飛び出しとても楽しい時間となりました。
お昼過ぎから始まって、4時間以上の長いイベントでしたが、盛りだくさんであっと言う間と感じるくらい濃密な時間を過ごしました。今回のイベントで生まれたアイディアの中から実際に京創舎で開催するものがあるかもしれません。
今後も京創舎の最新のイベント情報をお見逃しなく!!
スタッフ山口